中秋の名月 〜出稼ぎ社長、千里を走る!! 〜

秋の十五夜お月さんはクリスマス級の中華大イベントだった!?

月餅をめぐる販売市街戦!!

普段なら上海虹橋空港からオフィスまで、15分ほどで帰れる高速道路が大渋滞。
平日だというのに一時間も車上で釘付けになっていた。


「老板(ラオパン)、今日は "お月見" ですから 上海中が混んでるんですよ…。」

車を運転している社員が、申し訳なさそうに言ってきた。

中国の三大祝事といえば、『旧正月』『五月の節句』そして『中秋の名月』

中国では、旧暦 8月15日(9月15日)の満月を、秋の中、月の中、ということで『中秋の名月』と呼び、家族や親戚、取引先など含め、プレゼントを交換し祝う習慣があります。

日本でも「ススキに団子」を飾り、縁側? マンションのテラス? で家族とともに、月を仰ぎ見て祝う習慣は、残念ながら、私たちの生活からは、忘れ去られようとしている行事の一つではないでしょうか。

ところがどっこい、海を渡った中国では、9月の満月の一ヶ月前、8月から街はさながら、日本のバレンタインのチョコレートやクリスマスケーキに匹敵する、中華菓子『月餅』の大商戦が中国全土で繰り広げられます。

美味しい菓子店には長蛇の列、神のご加護付!?寺まで参戦!

▲会社がある上海 静安寺の月餅には神のご加護が?長蛇の列

▲お寺は儲かりすぎて、今年 五重の塔が、金の七重の塔に増築。

▲月とウサギの組み合わせは、日本と同じ。でもススキと小丸団子は無いんですよ!

また、9月15日前後は親戚縁者へプレゼントを渡すのに、繰り出す人々で、中国全土の主要都市では、車やレストランが大渋滞。

まさに、西欧のクリスマス級の国民的行事『中秋の名月』。

私もこの時期、お取引先に感謝を込めて、日系企業らしく『月餅』ではなく『クッキー」の詰め合わせを、日本から山ほど買っていきます。
(大きな段ボール箱のせいで、毎回、入国管理でX線検査をうけるはめに、、、^^;

嬉しいことに、中国では、取引先からも、お返しに月餅を頂くことが、ままあるのです。
納入業者が、得意先からお中元やお歳暮をもらうことは、日本では滅多にありませんよね。

こういうとこは、さすが大陸の人、細かいことを気にしない。
お互い顔の見える信頼関係を大事にする、おおらかな商取引が生きています。

「会ったこともない役員名でFAX一枚、通知のように値引きを要求する会社…」
「お中元やお歳暮も消えゆく商習慣になろうとする日本…」

『水清くして魚住まず』
『清酒と老酒』

"コンプライアンス" ばかりが声高に取り上げられる最近の日本の商売より、
清濁あわせて飲み込む、中国大陸の華人商売の方が、より人間的だと思うようになったのは、私だけでしょうか?

▲香港映画の名作「インファナル アフェア」の暗黒街のボス "ホンサム" も月餅を家族と食べてニッコリ!
幸せを祈ります。