旋盤とは?種類や特徴についてわかりやすく解説

出典:はじめての工作機械

Point

  • 回転する円筒形状のワークにバイトを押し当てて加工する
  • NC装置を搭載したNC旋盤が主流
  • 旋盤のサイズは振りや芯間の大きさで表す

1・旋盤とは

旋盤とは、主軸に取り付けた円筒形状のワーク(加工物)を回転させながら、バイトと呼ばれる切削工具を動かしてワークに押し当て、外周などを加工する工作機械だ。シャフトやピンなど、さまざまな円筒形状の部品が旋盤で作られる。

刃物台に固定されたバイトを使い、回転するワークを加工することを旋削加工という。バイトの動かし方次第で、外周や端面、穴の内面など、さまざまな場所を加工できる。他にも、円すいのような先細りのテーパー形状の加工や、複雑な形状をコピーするようになぞる倣い加工、加工後のワークを切断する突っ切り加工もできる。

CNC自動旋盤 CincomL12シリーズ(シチズンマシナリー)

旋盤では一般的に、ワークを取り付けるのにチャックと呼ばれる保持具を使うことが多い。チャックでワークを把握した状態で回転させる。比較的長さが短い円筒形状のワークをつかむのに広く使われる。
細長いワークをチャックに取り付けると、チャックで把握していない方はバイトに押されてたわむ。そのたわみを防ぐため、チャックで把握していない方の端面の中心をセンターと呼ばれる器具で支える必要がある。
また、細長いワークを加工する場合は、チャックを使わずにワークの両端をセンターで支える方法もある。しかし、単に支えるだけではワークに主軸の回転が伝わらないため、主軸の回転を伝達する回し金や回し板といった器具が必要だ。

製造現場ではかつて、ハンドルを手で動かし、バイトの動きを操作する汎用旋盤が多く使われていた。しかし、現在はNC装置を搭載するNC旋盤が主流だ。NCとは "Numerical Control"(ニューメリカルコントロール)の略で、数値制御を意味する。NC旋盤はバイトの動きなどを数値情報として制御できる旋盤だ。プログラムされた手順に沿ってワークを加工できる。

旋盤加工の様子
旋盤加工の様子

NC旋盤のメリットは以下の通り。
①作業者の勘や腕に依存しなくても一定品質のワークを加工できる。
②加工手順が全てプログラミングされており、図面の見誤りや勘違いなどの人的なミスを防げる。
③NCプログラムで制御するため、加工時間や加工手順が変わらず、加工精度のばらつきが少ない。品質を管理しやすく、不良品も削減できる。
④加工対象のワークが変わってもプログラムを変更するだけで済み、汎用性が高く融通が利きやすい。
⑤切削条件の設定などがデータ化でき、1人で複数の機械を受け持つことができる。

2・基本的な構成

旋盤は基本的に①主軸台、②刃物台、③往復台、④芯押し台、⑤ベッド、⑥ベースなどで構成される。
NC旋盤にはNC装置や、主軸や刃物台を移動させるサーボ機構も付加される。NC装置やサーボ機構を除けば、汎用旋盤もNC旋盤も構造自体は大きく変わらない。

1.主軸頭

主軸を内蔵した部分。主ワークを取り付けるための主軸を内蔵する台。主軸は旋盤の中でも最も重要な基幹部品だ。汎用旋盤の主軸台はモーターの回転数を歯車で変速させるが、NC旋盤の場合は無段階変速ができるサーボモーターを使い、NCプログラムで主軸の回転数を自由に設定できる。最近は主軸の中にモーターを内蔵したビルトインモーターの採用も増えた。

タレット型旋盤の基本構成のイメージ図
タレット型旋盤の基本構成のイメージ図
NC旋盤加工の種類
NC旋盤加工の種類

2. 刃物台、往復台

刃物台はバイトなどの切削工具を取り付ける部分。往復台は刃物台を載せる台だ。刃物台を形態別に分類すると、90度ごとに最大4本の工具を装着できる「フラット型」や、工具が平行に並ぶ「くし刃型」、工具が放射状に並ぶ「タレット型」がある。

NCくし刃型旋盤の加工室内
NCくし刃型旋盤の加工室内
NCタレット型旋盤の加工室内
NCタレット型旋盤の加工室内

3. 芯押し台

主軸と対向する位置に設けられた台で、芯押し軸が内蔵されている。芯押し軸にはセンターが搭載されている。センターは、ワークの回転を安定させたい時に端面に押し当てて使う。

4. ベッド、ベース

ベッドは主軸台や往復台を支える土台の役割を担う。ベースは旋盤の両端にあり、旋盤本体を支える。ベッドとベースが一体になった旋盤も多い。
ベッドやベースには、加工時に振動が伝わらないよう、十分な強度や剛性(変形のしにくさ)が求められる。
また、切りくずの処理も重要な課題だ。バイトを押し当ててワークを加工すると、切りくずが発生する。切りくずが堆積すると、切りくずの熱の影響でベッドやベースが熱膨張を起こして寸法が変わり、加工精度が悪くなる恐れがある。そのため、切りくずは速やかに機外に排出しなければならない。

そこで、切りくずが自然に落下しやすいようにベッドの案内面を傾斜させたスラントベッド型の旋盤が普及している。作業者が加工状況を把握しやすい上、機械の設置面積も小さくできる。
一方、案内面が水平のフラットベッド型は安定性が高く使いやすいのが特徴だ。チップコンベヤーを取り付け、切りくずの排出性を高めたものも多い。

3・旋盤のサイズ

旋盤には大型の部品を加工するものから小型のものまでさまざまなサイズがある。一般的に旋盤の大きさを示す指標には、振りと芯間がある。振りは、ベッド上の振りと往復台上の振りに分かれる。
振りとは、構造上取り付けることができるワークの最大直径を表す。ベッド上の振りは、ベッドに触れずに主軸に取り付けられるワークの最大直径を示し、往復台上の振りは往復台に触れずに取り付けられる最大直径を意味する。
また、芯間は芯押し台を主軸台から最大限に離したときの、主軸と芯押し台の両センター間の距離のことをいう。言い換えれば、旋盤に取り付けられるワークの最大の長さだ。

振りや芯間は、理論上加工できる最大のワークサイズを表す。しかし、最大サイズのワークを載せると刃物台の移動範囲を十分に確保できなくなり、作業性が悪くなるため、不都合がない程度にとどめる必要がある。
また、ベッドの長さを旋盤の大きさの指標にする場合もあるが、振りや芯間と同様に、実際に加工できるワークサイズとは相当の差があることには注意が要る。

4・旋盤の種類

1. くし刃型旋盤

髪をとく櫛(くし)のように、バイトが平行に並んだくし刃型の刃物台を搭載する旋盤。刃物台は主軸と平行な平面上を移動する。
後述のタレットに比べ、くし刃は一般的に位置決め精度が高く、位置の割り出し時間も短い。また、バイトが一列に並んだ構造のため、シンプルでコンパクトな点も特徴だ。
一方、タレット型旋盤よりも取り付けられる工具の本数が少ない上、工具同士の間隔が狭いため、使っていない工具とワークがぶつかる恐れもあり、複雑な加工がしにくい。

 NCくし刃型旋盤の加工室内
NCくし刃型旋盤の加工室内

2. タレット型旋盤

タレットと呼ばれる多角形の刃物台を持つ旋盤。バイトは放射状に取り付けられ、タレットが回転して使うバイトを割り出す。
タレットの利点は、くし刃に比べて加工領域を広く取れること。また、取り付けられる工具の数もくし刃より多く、加工精度や効率の面でも有利だ。しかし、タレットが大型化しやすく、重量がかさみやすい。また、回転するタレットの中心からバイトが離れているため、くし刃と比較すると位置決め精度が低い傾向にある。

 NCタレット型旋盤の加工室内
NCタレット型旋盤の加工室内

3. 立旋盤

主軸の向きが地面に対して垂直な旋盤。陶芸品を作る「ろくろ」をイメージすると分かりやすい。主軸の上に取り付けられた円テーブルにワークを載せて加工する。直径が大きいワークや重量のあるワーク、長さに対して直径が極端に大きいワークなど、主軸が地面に対し水平な横向きの旋盤ではチャックに取り付けるのが難しいワークの加工に使われる。

NC立旋盤
NC立旋盤 (画像出典:はじめの工作機械)

4. 自動旋盤

同じ形状のワークを大量生産(量産)するのに向いた旋盤。材料となる棒材を自動で供給する自動棒材供給機(バーフィーダー)と組み合わせれば、長時間の無人運転ができる。「自動盤」とも呼ばれる。
自動旋盤には主軸が移動するタイプと、主軸が固定されたタイプの2種類がある。主軸移動型は細長いワークの量産加工に力を発揮する。ワークが細長いとたわみやすくなるが、それを抑えるためにガイドブッシュと呼ばれる振れ止めの器具を使う。スイスで考案されたことから「スイス式自動旋盤」とも呼ばれる。
主軸固定型は、主軸台が動かず、刃物台が主軸の方向に動いてワークを加工する。太くて短いワークの加工が得意だ。
また、一つの主軸で連続して同じ加工をする単軸自動旋盤と、複数の主軸を持つ多軸自動旋盤がある。多軸自動旋盤の場合、円周状に並んだ複数の主軸が旋削や穴開け、ねじ切りなどの各加工エリアを移動する。各加工エリアで同時に加工するため、加工中に工具を交換する必要がなく、非常に生産性が高いのが特徴だ。

NC自動旋盤の加工室内
NC自動旋盤の加工室内

5. 汎用旋盤

旋盤の本体各部に取り付けられたハンドルやレバーを手動で操作して、刃物台や往復台を動かす旋盤。「普通旋盤」ともいう。

汎用旋盤
汎用旋盤(画像出典:はじめの工作機械)

6. ターニングセンタ

ターニングセンタ(TC)は、NC旋盤のタレットやくし刃に回転工具を搭載した工作機械。

回転工具とはフライス工具やエンドミルなど、回転しながらワークを加工する切削工具の総称だ。TCは旋削加工に加え、ミーリング加工も1台でまかなえる。

ヤマザキマザック CNC複合旋盤
ヤマザキマザック CNC複合旋盤

7. 高機能な旋盤

NC旋盤には、加工効率を高めるために2つの主軸を持つものがある。主軸の位置関係で、平行2スピンドル旋盤や対向2スピンドル旋盤に分類される。
平行2スピンドル旋盤は2本の主軸が平行に並び、対向2スピンドル旋盤は2本の主軸が対向する形で配置されている。2台分の旋盤と同じ機能を1台に集約したものだ。
また、刃物台を複数搭載するタイプのNC旋盤も数多く市場投入されている。1つの主軸に対し2つの刃物台を持つ旋盤や、2主軸で2つの刃物台を持つ旋盤などがある。2主軸に対し3つの刃物台を持つ旋盤もあり、高い生産性を誇る。

対向2スピンドル旋盤
対向2スピンドル旋盤 (画像出典:はじめの工作機械)

出典:はじめての工作機械

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